テニス部の大会は、ダブルスが2試合、シングルスが3試合、計5試合中先に3勝した学校が勝者となる。それは、中学でも高校でも変わらないルールだった。
私が中学時代に通っていた立海は、本当に強くて地区予選なんかじゃ、シングルス1・2が行われないときもあった。たまに、勝敗がついていても、全試合を行うときがあるんだけど、そのときに幸村部長・・・じゃなかった。幸村先輩や真田先輩が「久々だな」と試合をしていた。
今、私が通っている氷帝も強い学校で、準レギュラーで試合をしても、シングルス1や2まで回らないことが多い。もちろん、回ってきたとしても、シングルス1の跡部部長が負けるわけないから、氷帝が負けることなどないんだけど。
ただ、そんな氷帝でも、手古摺る相手が居る。立海も、もちろんだろうけど、もっと因縁があるのは青学。中等部時代から、氷帝は何かと青学とは関わりがあるらしい。私も、よく知っているのは関東大会の氷帝と青学戦。そのとき、氷帝の跡部先輩と青学の手塚さんとの試合――あの有名な頂上決戦が行われた。そして、そのときに大会で滅多に行われない“第六試合”も行われた。

第六試合は、シングルス1までに決着がつかなかった場合、補欠同士で試合が行われる。当時の氷帝対青学戦では、ダブルス2が青学の勝利、ダブルス1が氷帝の勝利、シングルス3が怪我のため、両者試合続行不可能でノーゲーム、シングルス2が青学の勝利、シングルス1が氷帝の勝利、と両校2勝2敗1分・・・だったと柳先輩から聞いた。
その第六試合のオーダーが、青学からは超1年生(スーパールーキー、って言うらしい)こと越前くん、氷帝からは準レギュラーの日吉だった。結果は、残念なことに青学の勝利となったけど、それでも私はこの試合を生で見たかった。
・・・生じゃなければ、実は見たことがあるんだけど。

さっきも言ったように、私は氷帝の高等部に通うことになった。そこで、またテニス部のマネージャーを始めた。中学時代もレギュラーだった人たちの名前はほとんど覚えていて、もちろん、そこには“日吉くん”の名前もあった。幼馴染の赤也とは、よく試合をしていたこともあったからだと思う。
クラスも一緒になって、授業中も真面目で、部活に一生懸命で、時に優しい日吉を好きになるのに、そんなに時間は要らなかった。
そして、私は思い出した。中学時代に柳先輩から聞いた、第六試合の話を。

私は、マネージャーという仕事を生かして(と言うか、これが職権乱用?)、当時のビデオを監督から貸していただいた。もちろん、ダブルス2から第六試合まで、全てを見た。あのとき、跡部先輩と手塚さんの試合が頂上決戦と言われ、特に感動を呼んだ意味がわかった。
その試合だけでなく、それまでの向日先輩と菊丸さんのアクロバティック対決、忍足先輩と桃城くんの読み合い対決。鳳くんと乾さんのサーブ対決、宍戸先輩と海堂くんの執念対決。樺地くんと河村さんのパワー対決に、芥川先輩と不二さんの天才対決。それらがあったからこそ、頂上決戦があんなに、多くの人の心を動かしたんだと思った。
そして、それは第六試合にも言えることで。

私が日吉に特別な想いがあったからという理由もあるかもしれないけれど、私は第六試合にすごく感動した。・・・と言うか、実際に泣いたし。
日吉がみんなの期待を背負って、だけど自分が強くなりたいという意思も持って、戦っている姿がものすごく私の心を動かした。その結果、負けてしまったことに、さらに悔し涙が出た。だけど、それは越前くんにも言えることで、2人が私には手の届かないところに居るようにも感じた。
そして、私はこの試合をそのときに見れなかったことをとても後悔した。あのときはあのときで、私にも立海のマネージャーとしての仕事があったのだから、仕方が無いのだけれど。

それから、私はより日吉が好きになった気がする。そして、第六試合が気に入り、氷帝への愛も大きくなった。
だから、もう2度と、皆さんに負けてほしくないし、第六試合になんてならないでほしいと思った。補欠同士の試合をする前に、決着をつけてほしいと。
そのためにも、私はマネージャーとして、出来る限りのことをしようと誓った。


「おい、。何、1人でガッツポーズしてんだ・・・?」

「わっ、日吉!見てたの?え〜っと、え〜っと・・・。ほら!ちょうど、洗濯物が干し終わったから!!」

「・・・何だよ、その今思いついたような理由は。・・・まぁ、いい。それより、何か手伝うか。ちょうど、俺、休憩だから。」

「大丈夫、大丈夫!私がします!皆さんのために!!」

「・・・なんか、いつも以上に気合入ってないか?」

「まぁね。」

「変な奴。」


日吉にそう言われて、私が笑ったら、日吉も楽しそうに笑った。
この笑顔が、あのときのように涙で崩れませんように・・・。そう願って、私は一層誓いを強くした。













文が長い!!と言うか、会話が少ない・・・!(汗)すみません、微妙な話で・・・(苦笑)。とは言え、これも手を抜いたわけではありませんよ?私としては真剣にやりました!・・・それで、これです・・・・・・orz

それにしても(笑)。この試合は、本当に泣きそうになります。やっぱり、できれば負け試合は見たくないですからね。・・・今のところ、負け試合ばかりですけど;;
さぁ!気を取り直して(?)・・・次回はどちらかと言うと、ギャグっぽい話です。よければ、見てやってくださいませ☆

('09/11/18)